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クリフトのアリーナへの想いはPart5 725 :姫様のマント 1/9:2006/08/02(水) 01 16 21 ID A8MVjg8j0 壮絶なキングレオ戦に勝利した後、モンバーバラの宿屋にて体を休めることになった。 夕食後に宿屋の井戸でうずくまっているソロにライアンはそっと近づいて後ろからポンと 肩をたたいた。 「俺って勇者とか言われつつ実はリーダーシップに欠けてるかも。」 と落ち込んだ様子のソロ。 「トルネコさんはもともとああいうキャラだとしても、あの真面目なクリフトまでが 姫様ホイミとかしちゃって俺の命令って認めてもらえてないのかな。」 「いや、クリフト殿のアレは仕方ないでしょうな。それより、ソロ殿がそこまで落ち こんでおられることのほうがこのライアンは心配ですな。」 「ううっ。こんなこと相談できるのはやっぱりライアンだけだ。・・・実は」 「実は?」 「チェックインした後、財布をなくしてしまって今の俺らの持ち金は¥0。 銀行から下ろしたお金までどうやらすられちゃったみたいなんだ。もうリーダー失格決 定!」 頭を抱え込んで座り込むソロ。 「なぬ!?・・・いや、拙者はソロ殿を責めるなんてことはしませんぞ?こうなったら拙 者が一晩で稼いでくるでござる。ソロ殿はここで待っていてくだされよ。」 そう宣言するやいなや、ライアンはすごい素早さでソロの前からいなくなった。 「ライアン、戦闘中もこのくらい素早ければいいのになぁ・・・って何するつもりだろ?」 「クリフト殿ー。おられるか?ライアンでござる。ちょっと相談があるでござるよー。」 男部屋を激しくノックするライアン。 「どうしましたか?ライアンさん。そんなに慌てて。」 とドアを開けてくれたクリフトの手にはアリーナの破けたマントが。 「むむむむむうぅ!?おぬしがそのように乱れておるからソロ殿があのような気苦労を 背負うでござるよ!?まったくもうっ。」 「はぁ?何怒っているんですか。うわっ」 ライアンはクリフトを担ぎ上げ、どこかへ走り去っていった。 「これから姫様ホイミのお仕置きをするでござる~!!!」 「???」 その後、ブライの監視つきで町を散歩して帰ってきたアリーナが、男部屋の入り口に 落ちている自分の破けたマントに気づいた。 「まあっ。クリフトったら。マントを直しておいてってお願いしたのにどこへ行ったの かしら。」 「姫様・・・たまには自分でお裁縫してくだされ。はぁー・・・」 「ライアンさんっ。下ろしてくださいっ。一体、劇場に何の用ですか。」 「なに。これから二人で舞台に出て、金を稼ぐのでござるよ。ご協力あれ。」 クリフトの頭は真っ白になった。 「えええええ!?絶対イヤです。勘弁してください。わー」 暴れるクリフト。しかし、腕力でライアンにかなうはずもなく、担ぎこまれたまま舞台 の上に躍り出てしまった! ライアンはクリフトを投げ飛ばして剣を抜いた! クリフトは華麗に着地した! 「さあー!覚悟めされよ!」 「(ううう。ライアンさんにはなにか訳があるに違いない。冷静になるんだ、冷静に!)」 クリフトも剣を抜いた。 ざわめく観客。 「なんだーチャンバラかー!?いいぞ、やれー」 観客のテンションは最高潮に達した。そんな群集のなかに青ざめたミネアがいた。 「な、なんでライアンさんとクリフトさんが舞台に!?」 きっと姉さんが楽屋でなにかけしかけたに違いない。助けなければ、と一歩踏み出した ミネアの袖がぐっと引っぱられた。 「ね、姉さん。いつの間に観客席に。それより二人が大変なの。助けましょう。」 「あー、余計なことはしなくていいから楽しみましょ!」 舞台に目をやると、そこにはチャンバラ劇ではなくモンバーバラの民族音楽に合わせて 剣舞が披露され始めた。時には激しく時には優雅に、音楽のリズムに合わせて繰り広げ られる美しい剣の舞。観客はこの珍しくも素晴らしい演目にすっかり魅了されている。 「わぁお。あの二人にこんな特技があったなんて。やるぅ。安心したね、ミネア。」 姉が妹のほうをみると、妹はすっかり舞台に集中している様子。目は・・・クリフトを 追っている。 「ミネア・・・。(そうだったんだ。今まで気づかずにいてごめんね)」 剣の舞が終わると、観客は劇場がはちきれんばかりの歓声を二人に浴びせて沢山のゴー ルドを投げている。 「わ~。こりゃ大もうけね!プロの踊り娘としてちょっとくやしいわ。」 姉妹が楽屋にいくと、疲れ果てたクリフトの傍らでゴールドを計上するライアンがいた。 「二人とも!すっごくよかったわよ~ん。」 楽屋には、姉妹にとって懐かしい人がもう一人。 「なんだ、この二人はマーニャちゃんの知り合いだったのかい?なるほどね。パノンも いなくなっちゃったことだし、これからも出演頼むよ。」 「二度とゴメンですっ」 慌てて否定するクリフトを見て、ライアンとマーニャは大笑い。ミネアはそっとクリフト の額の汗を拭いてあげた。 4人で劇場を後にすると、外の空気が冷たくてとても心地いい。 「私、クリフトさんがあのようなことをなさるとは本当にびっくりしました。リズム感も あるし、ぶっつけ本番であそこまでできるなら踊りの才能があるのではないでしょうか?」 「いえいえ、とんでもない。もともとライアンさんは王宮戦士の嗜みとして剣舞をされて いたのでしょうが、私は神に仕える者の儀礼的なものでしかありません。今日はひたす らライアンさんに合わせて乗り切っただけですよ。」 早くあんな恥ずかしい舞台のことは忘れたいといった感じで顔を赤らめるクリフト。 「ライアンさんもとても・・・・・」 ミネアがライアンのほうを向くと、すでにライアンとマーニャの姿はなかった。 「あ、あれっ!?はぐれちゃったのかな。でも、ライアンさんが一緒なら大丈夫かな。」 ミネアがきょろきょろしている間にクリフトはすたすたと早足で宿屋に向かっている。 アリーナから頼まれたマントの修理のことで頭が一杯になっていたのである。 「ま、待って・・・待ってくださいクリフトさんっ」 とクリフトの背中に向かって叫ぶや否や、ミネアは足元の石に躓いて思い切り転んでしま った。薄暗くて足元の石に気づかなかったのだ。 「大丈夫ですか!?」 「あいたたた・・・す、すみません。」 駆け寄ってきたクリフトにつかまって起き上がるミネア。ひざだけでなく、鼻もすりむい てしまって血が滲んでいる。ミネアは自分で治そうとしたが、クリフトのほうが呪文の詠 唱が早かった。 「はい、治りましたよ。暗いから気をつけて。」 きっと私の顔は真っ赤になっているんだろう・・・密かな想いに気付いてほしいようなほ しくないような、でもやっぱり今あんまり顔を見ないで欲しい。宿に着くまでのつかの間 の時間だが、ミネアは幸せな気持ちでいっぱいになっていた。 クリフトはミネアの歩く早さにあわせてゆっくり歩き出した。 そんな様子を木陰から覗いていた人物が一人・・・・ マントを持ってクリフトを捜し歩いていたアリーナだった。 「私、何で隠れているのかしら?」 (知らなかった・・・クリフトとミネアさんが夜のモンバーバラを一緒に過ごす仲だった なんて。今までもこうやって私が寝ている間に二人で夜の街を散歩とかしていたのかな。 散歩とか散歩とか散歩とか・・・?)それ以上想像が膨らみようもないアリーナであった が心臓のドキドキは収まりそうもない。そもそも何故ドキドキするのかも分からない。 ミネアがクリフトの袖を引っぱっている。 そして二人で木陰のベンチに腰掛けて何か話し出した。 さらに、建物の間から様子を伺っている二つの影。 「一体、何を話しているのでござろうな?」 「なんだか長話になってるようだけど、気になるわねー。」 「ところで、マーニャ殿は拙者に何の用でござるか?拙者は早くソロ殿にこの8000G を届けて安心させてあげたいでござる。」 「え?てっきりその金でこれから飲むのかと思ったのに・・・。」 いつになく艶っぽい目つきをしてマーニャが可愛らしく拗ねる。ライアンは深く息を吸い 込んで言った。 「・・・拙者は今度舞台にあがるとすればマーニャ殿と剣の舞をしたいでござる。」 「なあに、それ?口説いてるの?どうしてもって言うならいいわよ?でも、練習の前に1 杯だけおごってよね。」 アリーナはいまだかつて経験したことのない気持ちで一杯になっていた。今までクリフト が自分のために色々世話をやいてくれることは当然だと思っていなかったか。大所帯とな った今はクリフトだってみんなの共通の目的のために動かなければいけない。頭では分か っているけどクリフトが自分以外の女性に優しくしているのを見るのは何だか抵抗がある。 (私はクリフトのことを束縛して所有物みたいに思っていたのかな・・・そんなの最低。 サントハイムでは聖職者の恋愛や結婚は自由なわけだから、クリフトとミネアさんが愛し 合っているのなら私は喜ばなければいけないのよね?盗み聞きなんて良くない。クリフト はいつか私には話してくれるよね・・・)アリーナは静かに宿に戻った。 「ミントスで出会った頃は、ミネアさんと共通の宿敵を持つ運命だとは思いもよりません でしたよ。いよいよ、夜が明けたらサントハイムへの船旅になります。サントハイムの城 にいるというバルザックとやらを倒したら、城の人々は戻ってくるのでしょうか・・・ミ ネアさんに聞いてみたいけど聞かないほうがいいでしょうね?」 クリフトの透き通った青い目から不安と焦燥感が感じられた。今日のクリフトは色んな表 情をみせてくれる。 「ソロさんは、バルザック討伐のパーティーはサントハイムのお三方と姉さんの4人と決 められました。私はソロさんたちと一緒に後方から健闘を祈っています。」 ミネアはサントハイムの人々が無事に戻ってくるように祈っている、とは言えなかった。 もし、サントハイム王家そのものがなくなってしまえばアリーナは王女でもなんでもない ただの女の子。クリフトも王家直属の神官ではなく、ただの聖職者になる。二人の身分の 差はなくなり、二人が恋愛するにも支障はない。城の人々にはまだ戻ってきてほしくな い・・・・ミネアにはそんな気持ちもあった。逆に無事に戻ってきたとしても、クリフト がそれで旅をやめてしまわないかと不安になったりもする。しかし、ミネアの返答を聞い たクリフトは、ミネアはサントハイムの人々が戻ってこないことが分かっていてはぐらか したのだな、と思って小さなため息をついて目を伏せた。 「・・・・私ではアリーナさんの代わりにはなれませんか?」 ミネアの声は震えていた。今日こんなことを言うつもりはなかったのに、秘めたる想いが 溢れ出て言葉に出てしまった。引っ込み思案なミネアにとって精一杯の告白。 クリフトは目を開いてミネアのほうをまっすぐに見た。ミネアは肩を震わせ目を合わせよ うとしない。いや、合わせられずにうつむいていた。 「・・・・・。」 「・・・・・。」 沈黙の時間がとても長くて重くて、ミネアは押しつぶされそうになった。クリフトの返事 が怖くて涙が出てきた。叶わない恋だって分かっていたし、伝える勇気なんてなかったの に、どうして言ってしまったのだろう。クリフトはミネアの涙をハンカチでそっと拭いな がら優しい声で言った。 「ミネアさんは今のままでいいのですよ?なにも姫様みたいに今から武術を会得しような んて考えなくても・・・。一緒にバルザック討伐に加わりたい気持ちは痛いほど分かりま すが、ソロさんにはソロさんの考えがあってのことでしょうから。」 全然、伝わっていない。ミネアは全身の力が抜けていった。が、力を振り絞って言った。 「私・・・待ちます。」 クリフトがアリーナのことをあきらめるのを待つ、私だって負けない・・・そう決意する とますます涙が出てきて止まらなくなった。 「え?マーニャさんたちをですか?そろそろ寒くなってきたし、モンバーバラの夜道を女 性一人で歩くのは危険ですから一緒に宿に戻りましょう。」 やっぱり伝わらない・・・私のこのせつない想い。ミネアはますます全身の力が抜けてつ いには立てなくなった。 「相当お疲れのようですね。キングレオ戦では本当にお疲れ様でした。」 そういってクリフトはミネアをおんぶして宿に早足で戻っていった。鈍い、鈍すぎる。 宿のロビーにはライアンの帰りを待っていたソロがテーブルに伏して寝ていた。家計簿と 正義のそろばんを枕にしてぐっすり寝ている。もう、ブライ様やトルネコさんも部屋で寝 ていらっしゃるのだろう、そう思って寝ているソロの傍をしのび足で歩くクリフト。ミネ アを女性部屋まで送り届けようと角を曲がると、女性部屋のドアの前にはなんとアリーナ が立っていた。 泣いているミネアをおんぶして夜遅くこっそり戻ったクリフトを見たアリーナのこころの中 でなにかがはじけ飛んだ。アリーナは目に涙を浮かべてむりやり笑顔を作って言った。 「私はクリフトに何でも相談して頼っていたのに、(クリフトは私に自分のことを何にも話 してくれていないのね。)」 ミネアは慌ててクリフトから離れた。ミネアにははっきり分かった。 アリーナもまたクリフトを一人の男性として意識しはじめているのを。 「ア、アリーナさん、違うんです。私・・・」 誤解を解こうとするミネアのか細い声はクリフトの力強い声にかき消された。 「姫様!?泣いていらっしゃるのですか?このクリフト、姫様を悲しませるようなことは 決してしないと王様と神に誓っていたのになんという不覚!!すぐにマントを修理いたし ます。たとえ、徹夜してでも!!」 「ううん。私、何でもクリフトに頼りすぎて反省してたの。自分でやってみるから、やり 方を教えてほしくてクリフトが帰るのを待っていたのよ。」 この男、どこまで鈍いのか・・・でも、こんな感じなら私にだってまだチャンスはあるわ、 ミネアはそう思った。 夜も明け方・・・酔っ払ったライアンとマーニャが宿に戻ってきた。昨日の夜、剣舞で稼 いだ8000Gはたったの8Gになっていた。ライアンは8Gを寝ているソロのポケット に入れて、小声でつぶやいた。「スマンでござる。うっかり飲みすぎたでござる・・・ヒッ ク。」「ごめん・・・ソロ。あたしったらバルザック戦を前にしてテンション高くなっちゃ って。ヒック。」マーニャも小声でささやいた。 ソロが寝ているテーブルとは別のテーブルでは徹夜でお裁縫をするクリフトとアリーナが いた。マントを縫う前に何故かトルネコが破いてしまったという網タイツを練習がてら修 理しているところだった。 「このクリフト、姫様に必要とされているこの瞬間がとても幸せです。さあ、頑張って仕 上げましょう。」 「大袈裟ね。お裁縫ぐらいで。これからもっと色々教えてもらうんだから、私の傍をはな れないでよね。」 このあとしばらく、ソロが自分の統率力に疑問をもって悩みぬいたことは言うまでもない。 クリフトの姫様ホイミの回数は増えるし、アリーナはクリフトが馬車の中だと改心の一撃 を出さない。ミネアはクリフトばかり回復させるし、いままで捨て身で自分を助けてくれ ていたライアンまでがマーニャばかりかばうようになった。トルネコとマーニャは以前か らああいう性格だったけど、最近ますますみんな変だ。みんな立派な職業についているけ ど、俺は何でもないんだよな・・・勇者ってそもそも何だ?悩む17歳、ソロ。 勇者っていうのは世界を変えていく力がある人なのだ、とマスタードラゴンに教えてもらえ るのはまだまだ、先。
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クリフトとアリーナの想いはPart7 115 :でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00 09 48 ID Ww5j3d2K0 「ミネアさん、よろしいでしょうか?」 「え?」 何やら嬉しそうにわたしに突然話しかけてきたのは、クリフトさんだった。 珍しい。いつも姫様姫様ってアリーナの後ろばかりついていってるのに。 もう一人の付き人であるブライさんもいないようだし… 「どうしたのですか?珍しいですね ひとり?」 私は自分の思ったとおりにクリフトさんに返す。 私の問いに、少々バツの悪そうな笑顔を浮かべて、口元を手で隱しながら小声で言った。 「私のこと、占ってほしいんです」 「は?」 「つまり恋占い?」 私の一言は、この人の羞恥心に火をつけたらしい。 まさに瞬間湯沸かし器とでも例えるのが易し、みるみる顔が赤く染まった。 「いやっあの…、デスピサロ討伐という目的の最中、大変不謹慎なのは承知の上なのです。 しかし…どうも気になって夜も眠れないのです…」 「へーぇ…」 慌てまくる樣子がおかしくて、笑ってしまうのも失礼だと思い、水晶玉に目を落とした。 私は、はっきり言って男性不審だ。 姉さんの派手な男遊びを目の当たりにしてきたというのもあるけれど、 モンバーバラで過ごしていた頃に、姉さんの舞台を見に来ていた醉っぱらいの男に絡まれ、 乱暴された過去もあった。その所為で私はどうも男性が純粋な人間だとは思えない。 デスピサロ討伐のこの旅で出会った人たちの温かい心のおかげで、少しは和らいだけれど それでもいつも一歩下がったところで会話をする。仲間を信じていないわけではない。 けれど、まだ怖い、そしてまだ憎い。しかし私の過去は姉さん以外の人に話していない。 私を冷めていると見る人も多いだろう。 わけもなく私のような立ち振る舞いだったら、そう思われても仕方ないと思っている。 だから、私は心のどこかで驚いていたのが少しと、鬱陶しいのが少し、 そして 嬉しいのも少し。ほんの少し。 「相手はアリーナさんで宜しいですよね?」 水晶玉を見つめながら、当然のように聞いてみた。 が、何をそんなに慌てる事があるのか、大げさな声をあげた。 「な、何故わかるのですか?さすがはミネアさん、占い師って素晴らしいですね」 「………」 気付いていないのは当人たちだけのようですね。 私は水晶を台座に乗せ、タロットを組んだ。 「あれ?その水晶は使わないのですか?」 「これでも占う事は出來ますが、とても大まかなものなのです。 水晶があることによって、タロットの魔力はより力を増し、より正確な結果を得る事ができます」 対人関係ならセブン・テーリング法が良い。 「現状」の位置に一枚。 「自分」の位置に一枚。 「相手」の位置に一枚。 「原因」の位置に一枚。 「注意」の位置に一枚。 「方法」の位置に一枚。 「結果」の位置に一枚。 思えば恋愛の占いなんて初めてかもしれない。 モンバーバラにいた時も、仕事や金錢、生命・健康にかかわる占いばかりだった。 それに私自身、恋愛経験がないものだから…少し、興味が湧く。 「では貴方の手で、順にカードをめくってください」 「え?あ、はい」 生唾を飲み込む音が聞こえた。 あくまでも占い。私の占いはよく当たると言われるけれど、絶対ではない。 私の占いに頼る人でさえ、「いいことだけ信じる」という風な考えばかり。 それなのにこの人は、まさに生きるか死ぬかの瀬戸際のような切羽を詰まった顔。 とても必死。 なんだろう。 不思議な人。 「めくり終わりましたよ。ミネアさん」 はっと我に帰る。 私とクリフトさんの目の前には 「現状」に「吊るされた男」の正位置。 「自分」に「愚者」の正位置。 「相手」に「力」の正位置。 「原因」に「節制」の正位置。 「注意」に「塔」の逆位置。 「方法」に「戦車」の正位置。 「結果」に「隠者」の正位置。 「あ、あのミネアさん、これってどういうことなんですか?」 クリフトさんがうずうずした樣子で私に尋ねてくる。 私は解析と解説を同時にすることにした。 「そうね…まずは現状。今はひたすら耐える、そして尽くす一方のようですね。 己を磨く時期とも出ていますわ」 「尽くす一方・・・」 自分で読んでいて笑えてしまう。まさかこんなに当たるなんて。 アリーナさんとクリフトさんの関係はまさに今そんな感じね。 「次。自分というのは自分の考えや心理状況、立場をさすのですが…愚者の正位置ね。 ……夢想と無知。強いて言えば、まだ女性の事をあまり分かっていない、と」 「私は神に仕える身なもので」 「占いですよ。あくまで。そんなに真剣に答えないでください。次… 相手の考えや望み、心理状況ね。これは強固な意志と長期戦の意味を持ちます。 好きな人以外には見向きもしないようね。好きな人がいればの話ですけれど… あ、気を落とさないでくださいね。占いですから。」 今のアリーナさんを見ていると、私と違った意味で恋愛に興味が無さそうな気がする。 それに強固な意志というのはもしかしたらデスピサロを倒すことで頭がいっぱいなのかもしれない。 「そして原因。これはどうして今のような状況になったのかということ。 …節制の正位置。調和や自制、節度、献身にとらわれすぎている為…と言った所でしょうか」 「・・・」 もはやクリフトさんは何も言わなくなった。 私の一言一言が効いているらしく、首を縱に降りつづけている。 「そして注意。これは今後注意するべき点を表します。…まあ、不吉なカード。 突然のアクシデントや誤解に気をつけるべきだわ。 …もっとも誤解はともかく、突然のアクシデントは避けられない事なんですけれど」 「・・・注意のしようがないじゃないですか」 「それは次の「方法」で説明します。これはどうすれば良いのか表しているんです。 これは…援軍を求めるというのが良いみたいですね。アリーナさんとクリフトさんを 取り持ってくれる人を探したほうがいいということです。 もしもトラブルが起こった際は、その人に頼んで誤解などを取り除いてもらう事ですね」 「はい」 「そして、結果。二人の行く末は… 不滅の愛。そして思い出になると出ています。相手を尊重しあう関係になるようですね。 親の奬める縁談がキーワードになっています。人目を気にしていると示しています。 まあ、あくまでも占いです。占いが全てではありません。 どんな結果が出ようとも、諦めることなく、問題を打破して行くことが一番の希望でしょうね」 不滅の愛が思い出になるというのはどういうことなのだろう。 自分で占っておきながら不思議で仕方がなかった。 「はい。ありがとうございます」 クリフトさんは、複雑な笑みを浮かべて私に頭を下げた。 これほど長く異性と個人で話したのは、お客さま以外で初めてだ。 まあ、ある意味お客さまなのかもしれないけれど。 でも、何故か疲れる。頭から腰にかけて、疲労感がどっとのしかかる。 慣れない占いをしたせいだ。早く休みたい。 … ん? 「あの、まだ何か?」 占いを終えたクリフトさんは何故か私の前から立ち去ろうとしない。 ここに尋ねてきた時と同じように、バツの悪そうな顔で私に微笑んでいる。 神官という職業だからなのか、 それともこの人の性格なのか、 優しい顔。 それが心の底からなのか、仮面なのか。 つい、私はクリフトさんを凝視してしまう。 「援軍、お願いできますか?」 クリフトさんの一言で私は凝視を止めた。 「え、え ん ぐ ん ?」 「はい。占いに全て頼るつもりではありませんが、 やはりトラブルは怖いものです。未然に防ぐ事ができるのであれば、助っ人を頼むに越した事はありません。 女性をよく分かっていない私にとって、姫様と同性である貴方の意見はきっと役に立つと思います。 お願いします、私の助っ人になって頂けませんか?」 手。 手を握られた。 喉から額にかけて、じわっと熱が上がっていくのが分かった。 なぜかしら。 「あ、ああ、あの…」 声が上ずる。こんなの変。わたしじゃない。 「だめですか?」 その優しそうな顔を近づけないでほしい。 仲間とはいえ、あなたは一応私の苦手な男性なんですから… 頭が真っ白だわ。何も考えられない。 ドクン ドクン ドクン。 「・・・わ、わかりましたから手を離してください・・・」 震えながら搾り出すように言った。 どうしよう、引き受けてしまった。 「ありえないわ…ありえない」 口から飛び出してしまった了承の言葉で、クリフトさんは手放しで喜んだ。 異性から恋のアドバイスを受けるなんて初めてです!なんて 今にも泣き出しそうな顔で嬉しがった。 そんなの、私だって初めてよ。私なんて、まだ人を好きになったことすらないのに。 私が引き受けると言った途端、アリーナさんの長所や、アリーナさんとの出会い、 自分がどれ程アリーナさんを愛しているか、などなど、 聞いてもいないのに、満面の笑みを浮かべて私に教えてくれた。 聞いてるこっちが顔から火を出しそうなほどの内容だった。 「人を好きになるって、恥を捨てるってことなの?」 宿をとった私達は二人一部屋で割りあてられ、 私はいつものごとく、マーニャ姉さんと相部屋。 姉さんは何時も私に金と男と酒とギャンブルの話しかしないから、 いつもそれを聞き流していた。けど、今日は別。 クリフトさんの恋愛相談を引き受けたからには、私が無知でいてはいけない。 姉さんに相談するなんて、心底イヤだったから、他に誰に聞けるわけもなく、独言のように呟いた。 「え?ミネア、好きな人できたの!?」 大きな独言だったのか、興味津々にこちらを見る姉さんの一言に 心臓が鷲づかみにされるように脈打つ。 「そんなわけないじゃない!ひ、独言よ!!」 「ふ~ん??まあいいけどぉ。 恥を捨てるんじゃなくて、最初から恥ずかしくないってことじゃなぁい?」 恥ずかしくない? あれが? どう考えても恥ずかしいわ。人によるかも知れないけれど、私にとっては ザラキより、惚気と言うのかしら?とにかくあの甘い話が恐ろしいわ。 ありえないわ。 恋愛って変。不思議。 「あ、ミネアさん。昨日はどうもありがとうございました」 翌日。またも私はクリフトさんに話しかけられた。 バツの悪そうな笑顔は確信犯なの? 「いえ。それよりもクリフトさん。助っ人の事ですけれど… 私は占いをする事に関しては、抵抗はありません。本業ですし。 ですが、恋愛の事に関しては…全く経験がないもので。お役に立てるとは思えません」 私は、彼を出来るだけ傷つけない言葉を選んで、斷った。…つもりだ。 だけど彼は、何を勘違いしたのか花が咲いた様な笑顔で 「そうですか。私も恋愛素人なんです。仲間がいて本当に嬉しいです」 ……… なんなのこの人。 「姫様はお転婆だとブライ樣は仰られますが、そこが姫様の魅力だと私は思っております。 ミネアさんもそう思いませんか?」 「やはり姫様がお慕いする男性は、武闘派の方なのでしょうか… でしたら私はもっと鍛錬しなければいけませんよね」 「姫様が」「姫様の」「姫様に」 本当に、目をキラキラと輝かせてアリーナさんの事を語る。 まるで少年。穢れを知らない男の子。 その笑顔を見ていると、少しだけ癒されてしまう。 決して心を許したわけではないけれど、つられ笑いってやつかしら。 私は姫様姫様と連発するクリフトさんがおかしくて、つい 「ふ」 と笑ってしまった。 「あ」 クリフトさんが目を丸くさせて私を見た。 慌てて私は緩んだ口を手で覆う。 「今、笑いましたか?」 見られてしまったみたい。 「ごめんなさい」 頭を下げた。理解できないにせよ、人の一生懸命な気持ちを笑うのは失礼だ。 顔を上げたら、クリフトさんが、男の子のような笑顔で言った。 「いえ。ミネアさんの笑った顔って素敵だなって思って」 … 世 界 が 、 真 っ 白 に な っ た 。 きっと確信犯だわ。 私の反応を見て樂しんでいるんだわ。 そうよ、そうに決まってる。そういうことなのミネア。 なのに何故。 私は鏡に向かって笑顔を作っているの? 頬を淡く染めているの? 恥ずかしい。恐ろしい。 そして熱くて苦しい。 理解不能だわ。 翌日も、そのまた翌日も、今日も、明日も、明後日も。 来る日も来る日も、クリフトさんはアリーナさんに関する話を持ってくる。 だけど私はすっかり面白くなかった。 鬱陶しいからなの?でも話をする事自体は嫌いじゃない。 男性不審とは言え、仲間なのだし… だけどとてもとても腹立たしかった。 だからほとんど話を聞き流した。 なんてイヤな子。わたしったら。 理解不能だわ。 うんと私が小さい頃、占術を教えてくれた方が私に言ったのを思い出した。 占いは自分のために占っても、上手くいかない、と。 どういう事なのだろう。禁止されているわけでもない。どうしてだろう。 私の占いはよく当たる。それでもダメなのだろうか。 手が勝手に動いていた。 頭に浮かぶのは私自身の気持ちの正体だ。 私は、一体どうしてしまったのだろう… タロットを一枚だけ引いてみる。 めくりかけたときに、絵柄が覗いた。 それだけで、鼓動が高まった。 「運命の輪・・・」 方向転換の時期。思いがけない幸運。 新しい分野への挑戦。イメージチェンジ。 あらゆる可能性を見出す。周囲の人間関係が変化する。 そして突然の恋であればそれは絶好期となる。 恋? この私が? 誰に? 『ミネアさんの笑った顔って素敵だなって思って』 まさか。 そんな。 恋なんて。違う。慣れない言葉を掛けられた所為で驚いただけ。 そうよ、だからこんなに鼓動が早いの。 寿命が縮まったらクリフトさんのせいだわ。 …クリフトさんの。 … …クリフト…さん。 心で名前を呟くたび、それに反応するように ドクン、ドクンと脈打つ。 ありえないわ。 ありえない。理解不能だわ。 鏡を覗くと、私の顔が赤く染まっていた。 恥ずかしい。首元がくすぐったい。 どうせ占いよ。絶対ではない。 私はカードをそのまま道具箱に伏せてしまって置いた。 「…どうしましょうミネアさん」 心臓が飛び上がる。まさに渦中の人。クリフトさんがいつになく元気のない声で話しかけてきた。 「ど、どうしたんですか?今日もアリーナさんのこと話してくれるんでしょう?」 少し嫌味が入ってしまったかな…と私は思ったけれど クリフトさんの元気のなさを悪化させることはなかった。 「それがですね…昨日から姫様が私と口を聞かなくなってしまって… ブライ樣や他の皆様とは普通に接しているのに、私だけが何故か…」 「え?あんなに仲が良かったのに」 イヤだ。いやな女だ。 クリフトさんがアリーナさんと上手くいってないと聞いた途端、ほっとした自分がいや。 その時。 船が大きく揺れた。世界がゆらりと回る。 私は均衡がとれなくなり、重心が傾くままに倒れこむ。 「ミネアさん!」 クリフトさんは私の後頭部に手のひらを回して、一緒に倒れこんだ。 大きくて、優しくて、暖かい。私の後頭部にじんわりとクリフトさんの手の感触が伝わる。 時間が止まった感覚だ。 ただ、私の鼓動だけはやむどころか、速さを増す。 「危ないところでした…ホラ、ここの角に頭をぶつけたりしたら、大変なお怪我をすることに…」 倒れこんだ私を、覗き込んでクリフトさんが安堵の溜息をつく。 下から見上げたクリフトさんの前髪がゆれている。 ドクン ドクン ドクン。 顔が、熱いわ… 熱でもあるのかな。 ううん。 クリフトさんが、私に触れているから。 やっと、わかった。 私、好きなんだ クリフトさんが 「…クリフト」 私もクリフトさんも、同時に声の方向に目をやる。すごい速さで。 船搖れは治まり、私達の無事を確認しに来たのか、 クリフトさんの愛しい人が、私達を見つめていた。 いつも天真爛漫で、笑顔の多い彼女の目は翳っていた。 「姫!」 クリフトさんは、私を手で抱き起こし、アリーナさんの元へと駆け寄る。 「御無事でしたか?お怪我は?どこかぶつけませんでしたか?」 クリフトさんは、何事もなかったように、アリーナさんの身に怪我がないか確かめ、 ホイミの詠唱をしようとする。しかし、その手をアリーナさんは叩いて突き放した。 「いらないっ!!クリフトのホイミなんかいらないっ!!」 「…え」 アリーナさんの大きくぱっちりと開いた意志の強そうな瞳には涙が溜まっていたのは、私の見間違えじゃない。 クリフトさんは拒絶された事に、混乱と、そしてショックを受けているようだった。 アリーナさんは、走り去る間際、私を睨み付けた。 その瞬間、恋愛経験のない私でも、嫌でも気付いてしまった。 ああ。 クリフトさんは、一方的なんじゃないんだってこと。 何よ。私の出番なんか、最初からいらないんじゃない。 恥ずかしい。 一人で舞い上がって。 『恥を捨てるんじゃなくて、最初から恥ずかしくないってことじゃなぁい?』 姉さんは言ったわ。 違うじゃない。すごく恥ずかしいじゃない。馬鹿馬鹿しい。 気まずい雰囲気に勝てなかったクリフトさんは、私に一礼して、 アリーナさんの後を追いかけて行った。 運命の輪のカードは外れたの? 突然の恋であればそれは絶好期となる。 期待してたわけじゃないわ。 そうよ、悲しいのは、私の占いが外れた事よ。 腕が鈍ったのかしら? 込み上げそうな熱さを我慢して、ぐっと堪えて、 宿に戻る。 ベッドに寝そべる姉さんを横目に、私は昨日そのままにしておいた タロットカードをめくる。 「…あ」 やはり、自分の事を占うべきではないと、やっと意味がわかった。 占いの結果どうこうの問題じゃない。 自分の事を占うときは、感情が先走りする。 こうあればいいのに、このカードが出るように、と 少なからず希望が入る。 あの時、確認もしないで運命の輪の絵柄だけを見て意味を捉えた。 今私の目の前に出たのは、昨日のカード。 運命の輪が 逆さを向いていた。 タロットカードは、正位置と逆位置では意味が異なってくる。 どんなに良いカードでも、逆位置の場合、良いとは限らない。 運命の輪の逆位置の意味。 見込み違いのゆえ、物事が悪化する。不安定な時期。 そして失恋と、つかの間の恋。すれ違いが多くなる。判断ミスが多くなる。 けれど、今は苦しくてもいつかは幸せになる そんなカードだったのだ。 「ふ、ふふ…ふふふ」 私はカードを見つめながら、笑った。 自分が、滑稽でたまらない。ほんと、馬鹿馬鹿しいことこの上ない。 「な、何よミネアったら!気持ち悪いわね!」 姉さんが私を不気味に思ったのか、怒鳴った。 けれど、私は笑い声をとめることができなかった。 止めたら 泣いてるって思われちゃうでしょ? だから、止めない。 私の体は私の意志で動いてる、そうでしょ? なのに何故。言う事を聞いてくれないの? 涙なんか、流したくないのに。 ポタ ポタ ポタ。 止まれ。 止まれ。 いいから止まりなさい。 良かったじゃない。 私の占いは外れていなかったんだ。 「ミネア」 姉さんが私の肩を両手で包み込んだ。 暖かくて、クリフトさんの手の温度を思い出してしまった。 ポタ ポタ ポタ。 「姉さん。姉さんは『最初から恥ずかしくない』って言ったわ。 けれど、私にはそう思わない。とても恥ずかしい思いをした。 こんなにカッコの悪い事はない…」 姉さんに涙を見られないように、私はカードを見つめたまま、 平然を装って淡々と喋る。 「違うわよ、ミネア。 あたしが言いたかったのは、『人を好きになることは、恥ずかしい事じゃない』ということ。 ミネア、好きになったのね?初めて人を好きになったのね?」 ポタ ポタ ポタポタ。 頷いた時に、涙が一気に落ちた。 姉さんは私を後ろから抱きしめて、頭を撫でた。 「でも、クリフトさんは私の事、見えてない」 「そっか・・・ミネア、よく頑張った。 辛い事があったとき、私はもうあなたが一生恋愛できないんじゃないかって思った。 ごめんね、元はといえばあたしのお客だったんだ。何も出來なくてごめんね。 でも、あたしが保障してあげる。世の中、捨てたもんじゃないよ。 そりゃ、中には腐った男だってたくさんいるわ。けれど、ミネアがあいつの事、好きって思ったのは あいつの優しいところ見たからでしょ?…ちょっと頼りないけれどね。 大丈夫、いっぱい恋愛してるこのあたしが言うんだから!ミネアには、きっと幸せにしてくれる男が この先いっぱい、出てくるよ。恋をすることは、恥ずかしい事じゃない。ミネア、自分を褒めてあげな」 姉さんがいつになく優しい言葉で言うものだから、 私の涙はついにとまらなくなった。 姉に顔を見せた。きっと、見ていられないくらい醜い顔で私は泣いているのだろう。 そんな私の顔を抱き寄せて、姉さんは肩に埋める。 「初めての恋が上手くいくのは、とっても少ないんだ。 神様が経験の少ない人に与える試練なんだ。あんたはまだまだこれからだから、頑張りなさいって。 だからいっぱい泣いて、いっぱい成長しな。そんで、魅力的になって、 あんたを振ったこと、後悔させてやるくらいになってやるんだ、ミネア」 「… う ん …」 私は姉に抱きついて、泣きじゃくった。 そうだ。 あの二人は、私たちが出会う前からずっとずっと一緒にいたんだ。 私が入る余地もない事は当たり前なんだ。 むしろ、それほど人を好きになれるクリフトさんは素晴らしいと思う。 きっと、アリーナさんを幸せに出來るのはクリフトさんだ。 ならば私のすべきこと。 私は二人の援軍になる。 突然のアクシデント・誤解。 塔の逆位置は、船搖れの件をさしていたんだ。 ここまでくれば、戦車の援軍が私しかいない。 こんなところで、クリフトさんの恋を終わらせはしない。 好きな人には幸せになってほしい。 「…!…ミネア」 アリーナさんの部屋をノックもしないで、入ってしまった。 相部屋だった、勇者さんも驚いて声を上げた。 「ごめんなさい、勇者さん。 アリーナさんと二人でお話がしたいのです。少しの間、席をはずしていただけますか?」 「ん、了解。じゃあ、私外の空気吸ってくるわ」 扉が閉まる。勇者さんの足音が遠ざかるのを確認してから、私は口を開いた。 「あ、あの…船での一件。謝ろうと思って…ごめんなさい。 言っておきますけど、船揺れのせいであって私とクリフトさんは何も…」 アリーナさんは、幼い顔で俯いて不機嫌そうな顔をした。 そのせいで、小さな女の子がふくれっつらをしているように見えた。 「…分かってるよ…。こっちこそ、ミネアのこと睨み付けちゃってごめんね」 「いえ」 「あたし、やっぱり城で育ったから、わがままなのかなあ… クリフトがね、毎日毎日ミネアと喋ってるのを見ると、なんだかとてもいらいらしちゃって。 誰と喋っても良い筈なのにね。でもそのイライラを、クリフトにぶつけちゃって。 よく分からないや、ハハ…」 アリーナさん、あなたは知らないと思うけど、 私とクリフトさんが喋っていたのは常に貴方の事だったの。 私だって、そう。私だって…貴方の事ばかり話すクリフトさんにとても嫌な態度をとってしまった。 最初は何故、こんな事をしてしまうのか理解できなかったけど …そう。あれは正真正銘の嫉妬。 「クリフトさんとあれから仲直りした?」 船の一件のあと、アリーナさんを追いかけたクリフトさんのその後を聞いた。 けど、アリーナさんは不貞腐れて首を2回横にふった。 多分、私達は恋愛に置いてはとても似ている。 自分の気持ちに正直じゃないんだ。それに、…きっと初恋なんだ。 たった一つ違うところは、 私は片思いで、 貴方は両思い。 「クリフトさんに冷たくした事、後悔してる?」 「うん」 「じゃあ、素直にならなきゃ。 貴方が素直になれば、クリフトさんはとても喜ぶと思うわ。 …仲良しなんだから、ケンカしてるととても違和感があるの。パーティもギスギスしちゃうし、 やっぱり、普段どおりが一番よ。明日、仲直り、できるわよね」 少し間のあいた後、アリーナさんは小さく頷いた。 アリーナさんがクリフトさんのことを好きなこと。 クリフトさんがアリーナさんのことを好きなこと。 わざとそれは言わなかった。私って嫌な女かな? でも、この二人はきっと、大丈夫だよね。 数日後、いつも通りの風景がそこにあった。 クリフトさんは相変わらず姫様、姫様で。 アリーナさんは前以上に楽しそうで。 私の想いがこのまま封印されるのは、すごく悲しい事。 だけど悪い事じゃない。私はこれから、成長していく。 そして… 「あ、ミネアさん」 クリフトさんが私に話しかけてきた。 「姫様からお聞きしました。私が姫様と仲直りできたのはミネアさんのおかげです。 やっぱり、貴方に援軍を頼んだのは正解でした。ありがとうございます。 これ、昨日姫様と一緒に出かけて、よろず屋で買ったものです。私達からのお返しです」 私達、か… 見せ付けてくれるわね。 クリフトさんは、赤い包装紙に包まれたケースを私にくれた。 「ありがとうございます」 そう言って、私は微笑んだ。 自分の部屋でクリフトさんからもらったケースを開けてみる。 中から出てきたのは、 A Roda da Fortuna と彫られ、 美しい装飾が施されたイヤリングだった。 A Roda da Fortuna。 私への当てつけなのかしら?どこかの国の言葉で「運命の輪」。 「フフ…嫌味なお返し」 私は早速、そのイヤリングを身につけた。 まるで、最初からそこに身につけるのが当たり前かのように、しっくりくる。 私はもういちど、タロットを取り出し、自分の事について占った。 めくったカードは、運命の輪の逆位置。 「やっぱり、すぐには変わらないわよね」 カードを見つめて、左手でイヤリングに触れながら呟いた。 いつか、いつか、私はもっと成長して、綺麗になって、笑顔を増やして、素直になって。 幸せになるの。 私が好きになった人に、私以上に私を愛してもらう。 そしたら幸せになった私を、あなたに見せ付けてあげる。私って嫌な女。 だから、クリフトさん。このプレゼントのお返しはその時、に。 『失 恋 と 、 つ か の 間 の 恋 。 け れ ど 、 今 は 苦 し く て も い つ か は 幸 せ に な る 。 』 (fin)
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クリフトのアリーナの想いはPart11 232 名前 まがとき1/2 Mail sage 投稿日 2010/06/11(金) 23 39 06 ID dVEtkK/e0 暗闇に沈む宵に向けて逢魔が時は迫りつつある。 黄昏の色合いを纏い、光と陰が交錯する暮れなずむ景色に人々が帰路の流れを生じさせる。 そこには子どもの姿も多く、友人同士や兄弟で駆け足で連れ立って進む子らもいれば、父親や母親に手を引かれている子もいた。 人々の暖かな営みを感じさせるそれらの光景を道の端に寄り、一人眺める主君の後姿。 クリフトは呼びかけるために歩んでいた足を止める。 彼のいる場所からは後姿しか窺えず、アリーナの表情は見えない。 深みを増した金の光が、朱を帯びる蜂蜜色の彼女の髪をいっそう鮮やかに照らす。 だがその輝かしくも幻想的な姿に反して彼女の背から受ける印象は、小柄な姿態も相まってどこか哀憐を誘う。 宿屋へ戻るよう声をかけんとしたクリフトだったが躊躇われ、言葉ごと声を飲み込んで。 しかし、どうしていいかも分からずただ立ち尽くしていた。 その間も刻々と周りには落陽の色が広がる。 準じて街並みは妖しき竜のあぎとに飲まれいくかのごとく濃厚な影に沈まんとしている。 さながら帰路を急ぐ人々の動静は、禍々しくも感じられるこの状況からの逃避にも見えた。 「……何をやっておるんだ」 「え、あ。ブライ翁」 後方から聞き覚えあるしわがれた声に呼びかけられ、クリフトは現実感を取り戻す。 「まったく。おぬしは主人をお連れすることも出来んのか。そんなことでは側近は務まらんぞ」 やれやれと魔杖で肩を叩きながらブライは彼の横を通り過ぎ、 老境など感じさせぬ颯爽とした足取りでアリーナのもとへとまっすぐに進む。 迷いも躊躇いもない老臣の歩みに、クリフトもまた臣下として主君への忠誠心を奮い起こして続いた。 胸中に渦巻いていた、可憐なこの少女を抱きしめたいなどという愚かな願望はねじ伏せて。 ブライがアリーナに声をかけると、彼女はゆっくりと老師のほうへと振り向いた。 寂しげにブライを見る俯きがちな表情から日頃の溌剌さはなりを潜めている。 しかしクリフトの存在に気付くと一瞬だけ面持ちを強張らせたが、 それこそ瞬く間にその容相はいつもの『おてんば姫』のそれになる。 その姿の痛ましさに彼は胸を突かれる。 「なによ、二人そろってお迎えなんて。一人でだってあたしはちゃーんと宿屋に戻れるんですからね!」 「迷い子のように立ち尽くしておられたのに、どの口がおっしゃるか」 「ま、迷子になってたわけじゃないもの! その、ちょっとこの夕暮れの情緒ってやつを堪能していたのよ。子ども扱いしないでちょうだい」 長きをかけて培われただろう信頼の深さが垣間見える姫君と老師の軽口の応酬は、夕暮れ独特の物悲しい空気を和ませる。 「へんにブライがからかうから、せっかくの風情が台無しだわ。クリフトもそう思うでしょ?」 「ですが夕闇には魔が潜むと言います。まだ陽があるうちに我々も戻りましょう」 「あら。魔物なら大歓迎よ!」 「魔とは魔物であるとは限りません。禍いのたぐいのことも含まれているのですよ。 不意に降りかかる禍いはいかにアリーナ様とて退けようがありませんからね」 アリーナの繕う弱さには気付かぬふりで、しかつめ顔で彼は神官たる振る舞いを普段以上に心掛ける。 否。彼女が弱さをさらけ出せるほどの度量がまだ己には備わっていないことにこそ、気付かぬふりを装いたかったのかもしれない。 「っもう……はーい、わかったわよ。老師殿と神官さまの仰せのとおり、早々に宿屋へと参りますわ!」 聞こえよがしに言いまわしこそ丁寧なもので締めたものの、 語尾を荒げて足早に黄昏の街路を進むむくれた姿にさきの痛ましさはなく。 クリフトの胸には安堵と、少しばかりの未練気が過ぎる。 「ほれ、何をしておる。我らもさっさと参るぞ」 ブライの声音は、そんな僅かな未練気さえも厳かに窘めるかのように彼には響いた。
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FIFA 15 項目数:45 総ポイント:1000 難易度:★★★☆☆ 2021年5月で配信終了済 既にサーバーは停止、オン不可に 360版とは実績内容やポイント配分が異なる 総合的にはこちらの方が若干難易度が高い 指定のあるや最初から固定されている物以外は最低難易度で解除可 ただし最低難易度でもボールは取りに来る仕様 参考動画 https //www.youtube.com/watch?v=tdEbsgjfQPA 海外のPS版なのでこちらの実績に無い物も含まれているがシステムを弄って獲れる実績などは参考にできる もうひと押し 倒れた状態から得点を決める 15 無回転シュート 無回転シュートで3得点を決める 15 トーキック トーキックで3得点を決める 15 完璧な守備 スライディングタックルで10回ボールを奪い、そのままボールを保持する 15 キーパーをかわせ キーパーとの1対1に勝利して得点を決める 15 技巧派 スキルチャレンジを解除する 15 キーパーの救世主 スライディングでゴールライン上のボールをクリアして得点を阻止する 50 粋ワクドキドキ! 試合中にボールをポストかクロスバーに当てて得点を決める 15 ジャイキリ 3レベル以下のチームを使って5レベル レジェンドのCPUチームに勝利する 30 ジーニアス フレアシュートで得点を決める 50 全員攻撃 レジェンドのCPUを相手に、オールアタックのメンタリティを使用して80分過ぎに得点を決める 50 バスの鉄壁 レジェンドのCPUを相手に、パーク・ザ・バスのメンタリティを使用して70分以降を無得点に抑える 15 でも友達だよね? FUTでフレンドリーシーズンに勝利する 30 ウィンドーショッピング EAS FCカタログからレンタル選手を獲得する 5 犬馬の心 FUTで選手を10試合以上出場させて忠誠心を芽生えさせる 15 科学反応と書き、ケミストリーと読む FUTでケミストリースタイルを使用する 5 やってやるぜ FUTで週間最優秀チームに挑戦する 10 ドライブ FUTで20パックを開ける 100 ザ・ベスト FUTシーズンでディビジョンのタイトルを獲得する 100 キャプテンの責任? FUTのキャプテンを変更する 15 いいチームだ オンラインマッチの終了時にチーム編成をコピーする 15 ミスター・マネージャー 新しいメンバー表を作成する 5 知恵を拝借 メンバー表をインポートする 5 戦術家 試合中にチームマネジメントで戦術を変更する 5 旅人 1つのキャリアモード内で3つの異なる国で3つの異なるクラブを管理する 50 旅支度 選手キャリアモードで、レンタルまたは移籍で自分のクラブから抜ける 15 トーナメントタイム 16チーム以上が参加するカスタムトーナメントを作成して勝利する 10 タッグチーム結成 ゲストとシーズンをプレイする 10 もう1試合だけ… シーズンを連続して試合をプレイする 5 スタートダッシュ オンラインプロで、チャレンジの10%を解除する 10 スタイリッシュ バーチャルプロでカスタムのフリーキックまたはPKのスタイルを有効にする 10 迷コンビ フレンドとの協力プレイでシーズンをスタートする 10 上を目指せ シーズンモードで昇格する 75 試合する? プロクラブシーズンでドロップインマッチをプレイする 10 最後まで一緒 フレンドリーシーズンを完了する 30 クラブ運営 プログラブシーズンのリーグ戦で初勝利する 10 サポーター マッチデイ ライブの試合をプレイする 10 負けないぜ フレンドのスキルゲームスコアを超える 15 見てみて! EA SPORTSフットボールクラブのアクティビティを共有する 5 感想は? EA SPORTSフットボールクラブのアクティビティにコメントする 5 私が思うには… EA SPORTSフットボールクラブのアクティビティを評価する 5 太っ腹 EA SPORTSフットボールクラブのカタログのアイテムをギフトとして贈る 15 散財 EA SPORTSフットボールクラブのカタログのアイテムを購入する 10 順風満帆 EA SPORTSフットボールクラブのFIFA 15でレベル15以上になる 75 ジーニアス キーパーの近くでLT+Bでゴールを決めれば解除 トーキック ジーニアス等のような確実に打てるキーコマンドは無いため、とにかくゴール前のこぼれ玉をひたすら打つしかない キーパーやバーに当てて跳ね返った玉だと発生率は上がる 上を目指せ オンライン対戦で勝ち点15を獲れば昇格するのだが、アイテムを駆使して一度も対戦せずに昇格も可能 ただしレベルは25程度まで上げないと必要数のアイテムは買えない
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クリフトとアリーナの想いはPart7 253 :ザオラル1/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/10(火) 12 29 29 ID 9hWYl6470 クリフトの一日が、祈祷で始まり祈祷で終わるのは昔からのことだ。 しかし、ここ最近のクリフトの打ち込みようは、普通ではなかった。 まだ暗いうちに起き出して、不寝番の者に馬車に戻るよう伝えると、 東の空に向かって一心に祈りの言葉を唱え始める。 神への感謝を捧げ、祈りを終えて腰を上げるころには、 だいたい、東の地平線に朝日が指し染め、壮大な朝焼けが始まっていた。 クリフトは、目を細めてその光景をしばらく眺めると、 ようやく起き出してきた面々と共に、朝食の準備を始めるのだった。 それ以外にも、毎回食事の前には感謝の祈りを欠かさなかったし、 また、日の入りと就寝前にもそれぞれ長い祈りを捧げていた。 「ねえ、なんでクリフト最近そんなにお祈りしてるの?」 朝食の席でアリーナがクリフトに尋ねた。 「なんでと言われましても…私は神官ですから。」 クリフトは何でもないようにさらりと流したが、アリーナは食い下がった。 「だって、旅に出たばっかりの頃は、こんなに、いつもいつもお祈りしてなかったじゃない。」 これは、ごまかせそうにないなとクリフトは苦笑すると、小さい声で答えた。 「…実は、ザオラルを覚えることができないものかと思いまして。」 「ザオラル?」 アリーナは首をかしげた。 勇者が、はっとクリフトの方を見たが、クリフトは気づかない振りをしていた。 「ザオラルって蘇生呪文だっけ?それって禁呪じゃないの?」 サラダをつついていたマーニャが不審そうな顔をする。 「確かに、許可された教会の神父以外の者が、みだりに蘇生呪文を扱うことは 禁止されていますが……私に禁呪なんて、今さら、ですから。」 即死の禁断呪文を操る神官は、こともなげに肩をすくめて見せた。 「あんたも不良神官になったわね…まあ、でも、ザオラルが遣えれば一大戦力よ。 せいぜい頑張って覚えてちょうだい。」 「はい、頑張ります。」 マーニャの言葉に頷くクリフトに、アリーナが横から釘を刺した。 「でも!無理はしちゃダメだからね!クリフト!」 朝食の後、案の定クリフトの後を勇者が追ってきた。 「クリフト!」 「なんですか?ソロさん。」 「お前、ザオラルって…、ホントなのか?」 クリフトの左手を見ながら勇者は口ごもる。 クリフトは、勇者に正面から向き直ると、ため息をついて見せた。 「あなたには、随分みっともない姿をさらしてきましたが… もう、禁呪でオロオロするようなマネはいたしません。 それに、蘇生呪文は、禁呪といっても、人を癒し、回復するという、 神官系呪文の究極の形と考えても良いですし…。」 ただ、と左手を上げて、苦く笑う。 「これがあるせいか、ザオラルを唱えるのに必要なだけの、聖なる気が、 どうにもうまく集まらないんですよ。」 それで、毎日祈祷をして身を清めることに精を出してるんです、 と空を見上げるクリフトを、勇者はじっと見ていたが、やがて、ポツリといった。 「俺も、ザオラル、学べないかな…?」 「ソロさんが?」 クリフトは驚いて勇者を見た。 「そうですね…。聖職者以外の人間が蘇生呪文を使う、というのは 聞いたことはありませんが…ソロさんだったら、あるいは。」 清浄なオーラを放ち、時として天空から雷を呼び寄せさえする不思議な少年。 彼ならば、たとえ前例はなくとも、蘇生呪文を扱って見せるかもしれない。 むしろ、闇を飼っている自分などよりもよほど…。 「…でも、ザオラルは禁呪ですよ?」 からかい気味に問うと、 「俺に禁呪なんて今さら、だろ?」 勇者は、先ほどのクリフトの言葉をなぞって、不遜な笑いをして見せた。 その勇者の表情を見て、クリフトはからかい顔を改めた。 聖なる雷を呼び寄せ、天空の兜を身にまといながらも、この少年は神を信じていない。 ―――神に祈ったって、神様は、何もしてくれやしない。 以前、彼が呟いた言葉。 彼は神を信じない、恐れない。 彼が恐れているのは、神でも魔物でもなく、唯一つ、仲間が欠けること。 ―――自分のせいで失われる命を、これ以上見たくない。 クリフトには、蘇生呪文を学びたいという勇者の言葉に隠された、 勇者の、孤独に対する恐怖が、手に取るように分かった。 クリフトは、小さく吐息をつくと、悲しげな瞳で勇者を見つめた。 どうしたら、この少年に分かってもらえるのだろう。 自分とは違って、彼には、神に愛される資格がある。 辛い試練を課そうとも、神は、勇者を愛し見守っているのだ、ということを。 クリフトは、心の中で、勇者に呼びかけた。 ―――神様だけじゃない、私も、姫様も、皆、あなたと一緒にいます。 ―――だから、あなたは1人じゃない…1人だけで頑張ろうとしないで下さい。 自分は、辛いとき彼に助けられた。 だから、今度は、自分が彼を助けたい、とクリフトは強く思う。 例え微力であっても、彼の力になりたい。 この命は―――愛する姫のものだけれど。 でも、もし、自分が彼と一緒にいることが、少しでも彼の救いになるのならば、 自分は最後の闘いの場まで、彼と歩みを共にしよう。 そして全てが終わったとき、彼がまた神の愛を信じることができるよう、心から祈ろう。 しかし、それを言葉にする代わりに、クリフトは勇者に向かって頷いた。 「分かりました、ソロさん。…一緒に、ザオラルの修行をしましょう。」 そして、勇者を軽く睨んだ。 「そうとなったら、今までみたいな寝坊は許しませんよ。容赦なく叩き起こします。 朝晩みっちりと、精進のためのお祈りをしてもらいますからね。」 「…俺、早起きもお祈りも、苦手なんだけどな…。」 勇者は、口を尖らせながらも、どこかほっとしたような顔をした。 「へーっ、で、結局、あんた達2人ともザオラル使えるようになったわけ?」 「すごいことだわ…。ひとつのパーティにザオラル遣いが2名もいるなんて。」 数ヵ月後、夕食の席で誇らしげに報告する勇者に、マーニャとミネアは感心の声を上げた。 あっけらかんとアリーナが言う。 「そっか、じゃ、これからは戦闘中に死んでも安心ねっ。」 「「冗談じゃない!」」 2人の蘇生呪文の術者は、アリーナの言葉に声をそろえて目をむいた。 「このクリフト、命に代えても姫様のお命に危険が及ぶようなマネはさせません! 姫様に蘇生呪文なんて、考えただけでもぞっとします!」 「安心して死んだりなんかしたら、絶対に蘇生呪文なんかかけてやらないからな!」 まくしたてる2人に、アリーナがたじたじとなった。 「なによう…それじゃ、蘇生呪文覚えた意味がないじゃない…。」 ミネアがアリーナの頭をなでながら言った。 「蘇生呪文なんてお守りみたいなもので、使わないに越したことはないのよ。」 マーニャが片目をつぶって言った。 「そうそう、どんなときにも、いのちだいじに、が肝心ね!」 それを聞いた勇者は、少し目を見張ると、次の瞬間、心からうれしそうに笑った。
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クリフトのアリーナの想いはPart12.5 662 名前 人気投票1/3 Mail sage 投稿日 2013/01/21(月) 22 32 54.92 ID XX9PyRYU0 「こんな…ありえません…。」 クリフトは、無機質な文字が並んだ書面を凝視して呟いた。 ここは、サントハイム城の賓客用の間。 大きく開け放たれた窓際にはティーテーブルが用意され、そこでは 客人である緑の髪の青年がのんびりと午後のお茶を楽しんでいた。 「ん?今メイドさんが持ってきてくれた手紙か?何かあったのか?」 勇者はテーブルから立ち上がると、クリフトの手元を覗き込んだ。 「ああ何だ、人気投票結果のお知らせか。ずいぶん遅いな。 俺のところには、確か先週あたりには届いてたぞ。」 「え…。」 勇者はクリフトの顔を見てニッと笑った。 「栄えある1位獲得、おめでとさん!」 クリフトは慌てた様子で手にした紙をくしゃりと握りしめた。 「い、いえ、そんな、この結果はおかしいですよ!」 「どこがおかしいんだよ。」 「だって、私が1位なんて…ソロさんの方が上のはずなのに…。」 肩を落としてうつむくクリフトの背中を、勇者はポンポンと叩いた。 「ああ、そっちか。いいんだよ、俺は何位だろうが。 むしろ下位の方が気楽でいいや。」 「ソロさん…。」 長い間、世界を救う勇者であり、天空の民であるという特異な存在として 計り知れない重責を背負い続けた青年は、現在の「単なる村人」としての 平凡な日常を、心行くまで満喫しているようだった。 しかしクリフトは大きく首を振った。 「やはり駄目です!」 「な、何だよ、耳元で大声出すなよ!」 勇者は耳に手を当てるとクリフトから飛びのいた。 「ソロさんの順位以上に、姫様が私などの下にランキングされるなんて あり得ません!この投票には何か手違いがあったに違いないんです!」 「…俺の順位以上に、って、おい。…まあ、分かってたけどね…。」 馬鹿が付くほど姫様大事の神官が、キャラクターの人気投票で その姫よりも上の順位を獲得してしまったらどうなるか。 「あのな、お前は認めたくないかもしれないが、 これは商業雑誌が主催した公正なる投票の神聖なる結果だからな。」 勇者が諭すように言うと、クリフトは蒼ざめた。 「そんな…私は姫様に何と失礼なことをしてしまったんでしょう…!」 「だーかーらー、お前自身が何かしたわけじゃないだろーがっ! それより、お前、その通知よく読めよ。人気投票は他にも…。」 そのときバン、と扉が開く音がして、明るい声が客間に響いた。 「ソロ!久しぶりね!来てたんだったら言っ…て…。」 満面の笑みを浮かべて部屋に入ってきたアリーナは、そこで固まった。 その視線の先には蒼ざめたクリフトが立ちすくんでいる。 勇者はどこか面白がっているような表情を浮かべて2人を見比べた。 「~~~!」 次の瞬間、アリーナの顔がパパパ、と熟れたリンゴのように紅くなった。 そして何も言わずにくるりと踵を返すと、脱兎のごとく部屋から出て行った。 「姫様!?姫様!!お待ちください!」 クリフトはアリーナを追おうとしたが、部屋の扉は目の前で音を立てて 閉められてしまった。 「…姫様…。」 クリフトは絶望的な表情でその場に崩れ落ちた。 「おーい、大丈夫か?」 勇者はクリフトの横によっこらせ、としゃがみこんだ。 クリフトは床に両手をついて頭を垂れていた。 「あのご様子…。姫様もあの結果をご覧になられたんですね…。 姫様がお怒りになるのもごもっともです。私は何と不遜なことを…。」 「……ん、まあ、あの反応は、『結果』を見たんだろうなぁ…。」 勇者は呟くとクリフトを覗き込んだ。 「で?どうすんの?こんなとこでへたり込んでる暇があったら、 アリーナのこと追いかけた方がよくね?」 ハッとクリフトが顔を上げた。 「そ、そうでした!とにかく、姫様にはお詫びを申し上げなければっ!」 クリフトがすごい勢いで部屋を飛び出して行ったあと、勇者は、 やれやれとため息をつきながらテーブルに戻っていった。 テーブルの上には、くしゃくしゃに丸まった紙が放り出されている。 勇者はそれを手に取ると、丁寧に皺を伸ばした。 「クリフト…あの馬鹿、単独キャラの投票結果でパニックになって こっちの方に全く気が付いてないな…。」 単独キャラの投票結果の下方には「カップリング人気投票結果」との記載があり 一番上には、ダントツで1位を獲得したカップリングの名が印字してあった。 「クリフト×アリーナ」 「まーったく、俺とシンシアより上ってのはなぁ…。」 ブツブツ言いながらも、勇者の顔は微笑んでいた。 「いずれにせよ、あいつらがどんな顔で戻って来るか楽しみだ。」
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クリフトのアリーナの想いはPart12.5 270 名前 小ネタ(1/2) Mail sage 投稿日 2012/02/29(水) 04 25 13.12 ID 79XhPop30 「そういえば、クリフトって高い所苦手なのよね」 「はい、そうですが…」 「何かあったの?」 「何かと仰いますと?」 「ほら、苦手になった原因とかあるじゃないかってこと」 「ふむ、原因ですか……」 ―その昔- 「クリフト!ここからお城の外が見るの、とってもキレイ!」 「姫さま、そんな高い所に登っては危ないです!今行きますから!」(よじよじ) 「ほら、こっちの方がよく見えるわ」 「姫さま、そんなにひっぱらないで…うわっ!?」(ズルッ) ドターン 「クリフト大丈夫?クリフトー?」 「……そもそも姫様が、あのような危険な場所に登らなければ」(ブツブツ) 「私がどうかしたの?」 「いえ何でもないです、はい」 「あ、それから池も怖いって言っていたわね。クリフト泳げないんだっけ?」 「はい、昔に溺れたことがあるので……」 ―その昔- 「クリフト!あそこまで泳いで競争ね!」 「姫さま、なりません!その池は奥のほうが深いですから」 「心配ないわよ、えーい!」(バシャバシャ) 「姫さま待って……うわっ!?」(ズルッ) 「あれ、クリフトどこー?」 「ぶくぶくぶく……」 「……まったく、あの時に姫様が無理に行かなければ」(ブツブツ) 「え?私が何だって?」 「いえ何でもないです、はい」 「あ、あと犬も恐ろしいとか言ってなかった?」 「はい、犬はどうしても苦手でして……」 ―その昔- 「クリフト!見て、とっても可愛い」 「姫さま、その犬はどこで……」 「拾ったの」 「あのお言葉ですが姫さま、お城で犬は飼えません。ブライさまに一度引き渡した方が……」 「いや!」 「そんなワガママおっしゃらずに、こちらに」 「いやったらいやー!」 ガブッ 「……姫様が暴れなければ、それに驚いた犬が手に噛みついたりなど」(ブツブツ) 「だから私が何なの?」 「いえ何でもないです、はい」 「はぁ、まったく情けないわね。苦手な物をそのままにしておくのは良くないわよ」 「す、すみません…」 「少しは克服する努力も必要なんだか……」 ピシャーン! 「きゃぁ!?」(がしっ) 「わわっ、姫様!」 「何なのよ、今の」 「ああ、あれは勇者さんがギガデインの呪文の練習しているんですよ」 「………」 「もうすぐ習得できそうとは言っていましたが……あの、姫様?」 「………」 「……もしかして」 「………」 「まだ雷が苦手でいらっしゃ……」 「あ!そういえば勇者と手合わせの約束してたんだった!じゃあね、クリフト!」(棒読み) 「えっ、姫様―?」 (…行ってしまわれた) (でも、あの姫様にも苦手なものもあるとは) (……うん、なんか嬉しいな) アリーナの雷嫌いっていたスト設定だったけか? 普段は情けないが、怖がっている姫を守って男を見せるクリフトさん妄想した
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【脳筋】クリフトとアリーナの想いは3【ヘタレ】 79 :1/5:05/02/27 02 42 34 ID /lqs+HkT 薄暗い部屋の中。 髪を撫でられる感触がして、アリーナは重たげに目を開けた。 どうやら少し眠ってしまっていたらしい。 まだ夜中であると判り、ほっとする。外は、満月。 部屋にはカーテン越しに優しい月の光が入ってきている。 視線を移すと、そこには最愛の人の顔があった。 「クリフト…」 「姫様」 視線が重なる。 そして、唇に優しい感触。 ――こんな日が、本当に来るなんて。 半年前、初めて想いを伝えたあの日も、今日と同じ満月だった。 冒険か終わり、消えていた人々がこのサントハイムの城に戻ってきて間もない頃。 意を決して扉をノックした、あの日。 ――クリフト…私、あなたのことが好き。 旅のさなか、彼が倒れたときに気付いた自分の本当の気持ち。 それだけを言うのに、どれだけの勇気を要しただろう。 ――私もです。ずっとお慕い申しておりました。愛しております、アリーナ様。 彼はそういって、優しく抱きしめてくれた。恐れや不安を打ち消すように。 そして、初めてのキス。 それ以上、言葉は要らなかった。 それ以来、月に一度はこうして人目を忍んで逢瀬を重ねている。 朝が来れば、また王女と臣下に戻らなければならない。 恋人同士でいられるのは、夜明けまでのわずかな時間だけ。 こうして過ごす時間が、クリフトとの時間がいとおしい。 「ずっとこうしていられればいいのにな」 言ってしまって、はっとなる。 初めて意識してしまった。今まで触れないようにしてきた可能性を。 彼と二度とこうして会うことすらできなくなるかも知れないということを。 一国の王女である以上、彼と結ばれることは許されないこと。 この恋が知られてしまえば、たちどころに引き裂かれてしまうだろう。 クリフトとの永久の断絶…想像したくはないが、脳裏を過ぎってしまう。 アリーナの顔に影が差したのを、彼は見逃さなかった。 「どうなさいました、姫様」 「…ううん、なんでもないから気にしないで」 「いえ、私に話してください。どんなことでもいいんです」 彼は目の前の恋人を真っ直ぐに見つめながら言った。 この瞳に、嘘はつけない。 「…本当にたいしたことではないの。ただ…その… 私って、王女として生まれてこなかったほうがよかったのかな、と思って。 だってほら、私が王女なんかじゃなければ、クリフトだって私のために こんなに苦労しなくたってよかったわけじゃない。 それに…王族とかじゃなきゃもしこのことが他の誰かに知られてしまっても そのことであなたと会えなくなったりはしないじゃない…」 いつの間にか泣いてしまっていたらしい。クリフトがが涙をそっと拭いてくれた。 「…私は、神に感謝しております。このような運命を私に与えてくださったことを。 あなたが王女様だったからこそ、私は姫様とめぐり合うことができたのです。 そのうえ、今こうして思いを通じ合わせることまでできたのです。 …私はこれ以上、何も望んではおりません」 「でも…クリフトは怖くないの?」 「姫様…」 「私…クリフトを失うのが怖い。 もし今クリフトと引き離されてしまったら、と思うと…」 不意に、クリフトはアリーナを強く抱きしめた。 「姫様…正直、私も怖いのです。しかしこれだけは約束させてください。 たとえどのような時であっても、私は姫様のお傍にいるということを…」 そっとささやく。その一言が不安が瞬く間に溶かしていく。 これがクリフトの強さ。この強さに、今までずっと守られてきたんだと思う。 「クリフト…」 アリーナもクリフトの背中に手を回す。 「好き」 「私もです、姫様」 腕に力が込められる。優しく、それでいてしっかりと。 全身にクリフトの暖かさが伝わってくる。 夜が明けるまで、この温もりに身を委ねていたい…せめて今夜だけは。 いつしか不安は完全にかき消えていた。
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【TOP】【←prev】【Wii U】【next→】 FIFA 13 ワールドクラスサッカー タイトル FIFA 13 ワールドクラスサッカー 機種 Wii U 型番 WUP-P-AF3J ジャンル スポーツ(サッカー) 発売元 エレクトロニック・アーツ 発売日 2012-12-8 価格 7300円(税別) FIFA サッカー 関連 Console Game SFC FIFA INTERNATIONAL SOCCER MD FIFA INTERNATIONAL SOCCER SS FIFA SOCCER 96 PS FIFA SOCCER 97 FIFA Road to WORLD CUP 98 ワールドカップへの道 FIFA WORLD CUP 98 フランス98総集編 FIFA 99 ヨーロッパリーグ・サッカー FIFA 2000 ヨーロッパリーグ・サッカー N64 FIFA Road to WORLD CUP 98 GC 2002 FIFA ワールドカップ FIFA 2002 ロード・トゥ・FIFA ワールドカップ FIFA 2003 ヨーロッパサッカー FIFA 08 WORLD CLASS SOCCER Wii FIFA 09 ALL-PLAY FIFA 10 WORLD CLASS SOCCER 2010 FIFA ワールドカップ 南アフリカ大会 WiiU FIFA 13 ワールドクラスサッカー Handheld Game GG FIFA INTERNATIONAL SOCCER 駿河屋で購入 Wii U
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韓国にて2016年02月01日実装 Virtual Arena CSO1で言うところのケージ以上ストライカー未満な広さ。ケージ5個分ぐらい? つーーーかストライカーが広すぎるんだよ